2013/02/02

授業プラン 虚構新聞から学ぶレトリック

「虚構新聞」は実によくできたサイトだ。

毎回新鮮な話題を材に取り、いかにもありそうなパロディー記事を載せている。
まだ読んだことがない人はぜひ読んでみて欲しい。→サイトはこちら

虚構新聞には次のような特徴がある。
・現実のニュースを題にとり、そこからありそうだけどありえないことを記事にしている。
・新聞(報道文)の文体で最もらしく書いている。
・相手を納得させる「仕掛け」が随所に見られる。
 例)インタビュー記事や学者などの有識者のコメントが掲載される
   具体的なデータが添えられる。
   逆三角形の文体
   客観的(を装う文体)
   人を笑わせるのだけども、文章中では決して書き手が笑っていない。
   タイトル・写真の工夫
・随所に遊びが見られる。

作文の授業とパロディーは、実は相性がよい。
なぜなら、学校のような閉じた空間であれば、実生活と関わりのある実用的な文章を書く機会はそう多くないからだ。
ならば、それを逆手にとって虚構の世界で文章修行をさせればよい。

たとえば、「虚構新聞」のスタイルを参考に次のような虚構作文はどうだろうか?

虚構修学旅行ニュース
・修学旅行に行く直前に、修学旅行でいかにも起きそうなことをテーマに虚構ニュース書く。
・虚構新聞(報道文)の形式で、もっともらしく、あたかも本当にあったかのようにリアリティーを持たせて書く。
・虚構新聞の文章を事前に提示し、そのレトリック(表現の特徴)を分析させるとよいだろう。
 教師が虚構新聞の例文を提示するときは、そのような表現の特徴が際立ったものを提示すると良い。もちろん、現実の新聞記事と比較させてもよいだろう。(おそらくそれほど違いはないはずだ)
(修学旅行でも、学校行事でも何でも良い)

この虚構作文のねらいは、「文章に信憑性を持たせること」である。
この意図を押さえておかないと、ただでたらめの文章をふざけて書いて終わりになってしまう。
作文を書かせる前に、事前につぎのようなチェック項目を提示しておくと良いだろう。
・読み手が不快にならず、楽しませるような題材を取り上げているか?
・本当にあったことと思わせるような表現の工夫をしているか?
・「虚構新聞」の表現から、その言葉の工夫を3点以上指摘することができるか?
・マスコミの情報を読むときに、どんなことを注意したらよいか考えることができたか?

どのような表現をすれば、相手に真実だと思い込ませることができるか、というところがポイントである。
虚構の題材を扱う分、より文章表現の方法意識を研ぎ澄ますことになるだろう。
そして、メディアリテラシーの観点からも、今度は読み手の立場に立ったときでも、うさんくさい、もっともらしい言い回しに注意して読む態度を養うことができるかもしれない。
※欲を言えば「虚構新聞」のパロディーの隠れたメッセージ(風刺・批評精神)まで考えさせたいけど、中学生には難しいかな?