2014/05/06

iPadを活用した説明文の授業(中二 教出「アオスジアゲハとトカゲの卵」)

単元 理科系の文章を攻略

趣旨
 教科書教材「アオスジアゲハとトカゲの卵」を扱う読むことの単元。
 この文章は説明文。しかも理科的な内容を取り上げている。
 理科的な文章を味わうためには、ある程度の理科知識が必要とされる。
 しかし、知識を深く学ぶのは理科の授業で扱うとして、国語科の授業の中では、理科的な事項でわからないことがあったら、辞書やネットで調べるなどして、文意がとれる程度の解決がきればよい。(日常生活の中でも、大人はそのようにググって、わからない文章と出会った時に解決している)
 国語科の学習としては、そのような未知の説明文を読むポイントをつかむこと、文章内容を的確に読み取ること、そして説明文の文章の特徴、表現の工夫を読みとること、さらには、文章で使われている新出の語彙を使用語彙として使いこなせるようになることが目当てとなる。
 学習を通して、今後の人生の中で、初めて読む説明文でも、自分からアタックして読みこなせる力を身につけさせていきたい。また、理科系の本に出会い、親しむきっかけとして欲しいとも思う。そこで次のように5時間の単元をデザインする。

単元の目標
 ◆説明的な文章を自力で読みこなす方法を学ぶ。
 ◆説明文の文章構成や展開、表現の仕方について自分の考えを持つ。
 ◆理科系の本にたくさん触れ、親しむ。

学習の流れ(予定)
一、「アオスジアゲハ」を読む(個読)
  ・題名読み
  ・通読
  ・書き込み……感じたこと、疑問点を書き込む。わからない語句を調べるなど
  (教室にiPadを用意し、必要があればその場で調べられる環境にする)
 
 ※宿題 教材で出てきた語句の例文を作る
   「あろうことか」「息を潜める」「なすすべはない」「自明」
  (日本語コーパスを紹介する)

二、「アオスジアゲハ」を読む(グループで)
    次の観点で意見を出し合う
  ・構成で工夫されているところ
    ・表現で工夫されているところ
    ・わかりにくい構成や文章表現、疑問点

三、「アオスジアゲハ」を極める(グループで)
 A、Bグループに分かれて取り組む

 A、改善プラングループ
 ・わかりにくい表現の原因を突き止め、わかりやすい表現に書き替える。
 (iPadで書き替え文章案を記入)

 B、比べ読みグループ
 ・原作である『生物と無生物のあいだ』のエピローグと比べ読みして、どのような意図で書き替えら  れたか考察する。もっとも作者の意図が表れているところを指摘する。
 (iPad上でテキスト比較ツール「diff(デュフフ)」を使って比較読み)

四、「アオスジアゲハ」の魅力とは?
 前時の内容を各グループごとに発表。
 「アオスジアゲハ」の作品の魅力を紹介文の形で200字程度の文章にまとめる。

五、理科系の本に親しむ(学校図書館で)
 各自、理科系の本を一冊選び、読んで味わう。
 (課外で紹介文を書いて提出。後日、それをもとにビブリオバトルを行う)


補遺 なぜアイパッドを使うか??

この授業ではアイパッドは4回登場しています。国語科の専門以外の方からは、何をしようとしているのか、その意図が十分に伝わらなかったかもしれません。

次のような学習支援の機能を活かそうとしています。
1つ目、国語科の学習ではあまり触れられない理科的な知識を伝えるためのデータベースとして。(たとえば、必要に応じて、文章中に出てくる語句から発展して、さらに知りたくなったという欲求にこたえるための)
……これが、「自力で読みこなすための力」につながってくる。

2つ目 大量のテキストを効率よく処理し、より本質的な言葉の学習の時間を確保するためのツールとして。
(たとえば、比べ読みのツール「diff」を使えば、2つの文章のどこがどう違うか色分けされてすぐにわかる。それをもとにして比較読みにたっぷりと時間をとることができる。
書き換えも同じく、手書きよりも、もとのテキストのデータをいじくるほうが書く労力は少なくなり、より、どのような文章を書こうかという思考に時間を割くことができる。
コーパスを活用することで、実際に語句がどのように使われているか、生の用例に触れられ、自分たちが書いた文章と比較することができる)