2014/09/26

理科で育つ文学的想像力、あるいは文学的想像力で育つ理科

職員室のお隣の席は理科の先生。いつもユニークな授業を展開していて子どもたちにも大人気だ。
その先生の学級通信で、先日行った理科の授業の様子がレポートされていた。
題して「化学反応式劇」
化学反応式の原子の気持ちになったつもりで、グループでストーリーと作り演じてみせる。
反応のストーリーだけでなく、できた物質の性質も取り入れた劇に仕上がっている(らしい)。
たとえばこんな感じだ。

FeS+2HCL→H2S+FeCL2
カップルのFeSを悪者HCLが二人の仲を引き裂こうとしました。2人のHがSをm二人のCLがFeを引き離しました。
二人のHはSをどぶに突き落とそうとするのですが、Hも道連れになってしまい、H2Sはどぶに落ちくさくなってしまいました。

2H2O→2H2+O2
HとOは仲がよくH2Oの状態でした。
しかしある日、一人のHの「なんでOのくせにHと混ざってるんだよ」という発言のきっかけで、HとOはそれぞれ分かれ、H2とO2になり、二度と交わることはありませんでした。

2CuO+C→2Cu+CO2
二組のCuOはカップルでした。
ある日転校生のCがやってきました。
このCO2は2人のOくんをCuOから奪ってしまい、CO2になってしまいました。
残されたCuは復讐のため自分を磨き、ギラギラしました。

数字とアルファベットの羅列を覚えさせられるのは苦痛だけれども、こうしてストーリー形式で身体で覚えるのは、より印象に残るし楽しい学習になると思う。
なにより、こういう理科の学習に、さりげなくストーリー作りという文学的想像力がさりげなく発揮されているところに少し感動を覚えた。