2015/03/30

道に迷わなくなる方法は、道に迷うこと

旅行の醍醐味は「道に迷うこと」である。
というか、迷う道のない街ほどつまらないものはない。
私が好きな街は、例外なく、迷わせてくれる街である。
ベネチア(イタリア)、フェズ(モロッコ)、大柵欄(中国・北京)、ヴァラナシ(インド)、エルサレム旧市街などなど。
迷って、迷って、何度も同じ道をぐるぐる回って、地図とにらめっこして、そうしていくうちに、次第にその街の相貌がつかめてくる。地図が手の内に入ってくる。おおよそ3日間くらい歩き回ると、大体の街の方向感覚くらいはつかめるようになってくる。そのくらいまで見えてくると、その街に一気に愛着がわいてくる。

道に迷わなくなる方法はただ一つ。道に迷うことしかないらしい。
たとえば、ガイドがそばにいて丁寧に道を教えてくれたとしても、いや、ガイドがいるからこそ、いつまでたっても道を覚えることが出来なくなるようなのだ。
ガイドでなくても、たとえば友達と一緒に移動をしたとして、友達任せにしてついていったりしても、やはり道はいっこうに覚えられない。
どうやら道を覚えるためには、人任せでは全くダメらしい。
自分で進む道を決めて、ゴールに向かって進んでいくということしかないらしいのだ。
ガイドとか、ナビとか、地図とかそういう手引きはいくらでもあるけれども、結局、自分で進む道を決めること、そして道に迷うことより以上の、その街を知るための解決策はないらしい。