2013/12/10

要素に分解する。要素の力点をずらす。

教授学習心理学の授業で「クレーの塗り絵」の実践レポートを読んだ。
クレーの絵の輪郭線だけをコピーしたものを与え、その枠に自分で選んだ色を塗っていくという学習。
この授業実践から、授業において「要素に分解すること」と「要素の力点をずらすこと」の重要性を考えた。

人は、絵を描くときどこに力点を置くだろうか?
輪郭線か、色彩か?
きっと輪郭である線をしっかりと描くことに重点を置くだろう。
しかし、輪郭にばっかり目を向けてしまうと、肝心の色彩のほうには目がいきにくくなる。
太陽だったら赤、顔だったら肌色と、何も考えずに色を選択してしまう。
そして、ペンキのようにべた塗りをしてしまう子もいる。
そもそも輪郭がうまくかけない生徒は、絵を描くことに苦手意識を持ってしまう。

そこで出てきた発想が「塗り絵」をするという活動だ。
絵の描くときの要素、「輪郭」と「色彩」を分解し、与えられた「輪郭」にどんな「色彩」を描いていくのかということに意識を集中させる。
取り上げた学習材はクレーの絵画。
クレーの絵は、たとえばこんな雰囲気のもの
クレーの絵は抽象的なモチーフのものが多い。
どんな色彩も入りそうな余地がある。そして、どんな色を入れてもそれっぽく見える。
また、単調な構図であるだけに、ひねりを入れたい、変化をつけたいという誘惑をさそう。
クレーの絵だったら、絵が上手な子はそのセンスを発揮し、絵が苦手な子もそれっぽく立派な作品に仕上がる。
(モナリザとか、モネの「睡蓮」ではこうはいかないだろう)
優れた授業実践からは、他の授業に応用できる多くの示唆が得られる。