2013/12/05

PISAが突きつけた「問」

OECD(経済協力開発機構)が実施している国際学力テストPISA(Programme for International Student Assessment)の結果が公表された。
日本は数学、科学、読解、三分野とも前回の順位を上回った。
このテストは知識の多寡ではなく、思考力や応用力を測ろうとしている。

最近、大学院の授業で「教育社会学」を学んでいる。
そこで取り上げた佐々木賢氏(元定時制高校教諭、教育評論家)も、ちょうどこのPISA調査を取り上げ論じている。

佐々木氏の見解は次の通りだ。
◆PISA調査の結果は、ちょうど「ゆとり教育」を受けてきた世代である。そもそも「ゆとり教育」の可否が検証されていないのにもかかわらず、今結果を取り上げて「脱ゆとり」と論じるのはおかしい。

◆「ゆとり教育」はいわば「自由教育」。貧困家庭の子にとって、有効とも思えない。貧困層の学力向上を図るには、貧困をもたらす環境のほうが大きく障碍となっているから、その対策こそが課題なのだ。学力底上げは社会問題なのだ。

◆「ゆとり教育」もPISA型学力も、上・中流層のみを対象にした教育である。OECDは経済団体であり、経済発展や開発を目指す材確保のためのテスト問題を作っている。

佐々木氏の論考には次のような問が含まれている。
◆教育政策の可否はどのように測定されるべきなのか?
◆学力底上げは社会問題だとするならば、教育現場の努力は無力なのか?
◆階層に応じた教育内容というものがあるのか?
あるとすればどのようなものなのか? 
PISAで測るような力(思考力)は、貧困層には不要なのか?