2013/12/05

授業における課題の順序の研究~「どひゃあ型」と「じわじわ型」~

今日の大学院の授業、教授学習心理学では、課題を出す順番についての研究論文を読んでいった。
で、結論めいたことをいうと、次のようになる。

理科などで、ある概念なり法則を教える際に、実験などを複数続けて見せるとしたら、どの順序が一番効果的か?

課題を出す順番を、かりに「どひゃあ型」と「じわじわ型」に区別する。
「どひゃあ型」とは、自分の予想を裏切り、「どひゃあ」とたまげる結果になる課題から順に提示する順番。
「未知→既知」の構造だ。

「じわじわ型」とは、自分の予想どおりの結果になるものを先に提示し、徐々に予想が難しくなっていくものを見せる課題。
「既知→未知」の構造だ。

ちなみに、仮説実験授業は「どひゃあ型」の提示順序が多いそうだ。
さて、どちらがより効果があるか。

一見、「どひゃあ型」の方がインパクトがあって良さそうだが、間違った知識が定着してしまっている学習者、誤概念へのこだわりが強い学習者にとっては、そのときは驚くが、長期的にみると知識の定着は悪い結果を示すのだという。
つまり、その場だけはびっくりするが、後になると知識が間違った状態のまま残ってしまっていることが多いのだそうだ。

反対に、「どひゃあ型」が向いている学習者もいる。
それは、理科への興味関心が高かったり、ある程度知識があり、誤概念へのこだわりが低い人。びっくりした後に、どうして?とさらに追及できる姿勢のある学習者にとっては効果があるらしい。
自分の予想と異なる結果が示されたときに、驚くだけでなく、さらに深く考えられることができれば、知識の構造が変化する(知識が身につく)という訳なのだ。

「どひゃあ型」が向いていない学習者、誤概念へのこだわりが強かったり、基礎的な知識が不足している学習者にとっては、じわじわと既有の知識を元に積み上げて行くような課題の方が効果がある。
また、実験結果を予想させたり、なぜそうなったのかを話し合う活動も効果的だという。
ポイントは、情意面だけでなく理屈でも理解する状態にするということだ。

どひゃあ型の方が授業としては見栄えがするし、生徒の情意面に訴えやすいから効果があるはずと思い込んでいたんだけど、学習者によっては、かえって思考が働かないのだという。

私にはとって「どひゃあ」と言いたくなる研究結果だった。