2014/03/30

ボツになった指導案 ××中生のための防災マニュアル~効果的に伝わるマニュアルを作成するには~

3学年△組  国語科学習指導案

Ⅰ 単元名 ××中生のための防災マニュアル~効果的に伝わるマニュアルを作成するには~

Ⅱ 単元の考察
(1)本単元で行う言語活動
本単元では、中学生のための防災マニュアルを書く言語活動を行う。同じ学校に通う中学生を対象に、地震が起きたときの適切な対処の方法や避難の手順、必要な備えや心構えなどをさまざまな資料や自分たちの体験を元にグループで作成する。
マニュアル(manyual)は手引き書、取扱説明書とほぼ同義で用いられている。本単元で取り上げる防災マニュアルは手引き書や手順書として。災害に遭った際の流れを説明することを目的とする言語活動の表現様式である。
防災マニュアルの必要とされる要素は、内容面では、第一に正しい避難行動を指南する正確さが、そして第二には、いつ、どこで、どんな状況でも対処できる的確さが求められる。マニュアルの内容を考える際には、最適な避難行動を信頼ある情報源から集め、検討することとと、あらゆる状況をシミュレーションしてその対応を記述することとが求められる。続いて、表現上、求められる要素として、第一に、メッセージの正確な伝達が必要である。誰が読んでも誤解を招かないよう、平易な表現方法を追求しなければならない。第二には、情報のわかりやすさが求められる。複雑な内容をわかりやすく伝えるために、例えば概要を先に説明した後に詳細を述べたり、重要な情報とそうでない情報を区別して表現したり、具体的なモデルケースを取り上げて説明したり、時系列ごと、場所ごと、被害状況ごとなどに区別して説明したりするなどの表現上の工夫も必要であろう。第三には、情報の記憶しやすさも必要である。マニュアルを見ながら行動するのではなく、マニュアルを見なくてもそれを記憶していていつでも行動に移せる状態になることが理想である。そのためには語呂合わせや、ピクトグラム、イラストやマンガ、表などの非言語的な要素を、読み手の印象を深くするためには効果的な方法であろう。詳細な説明をつらつらと記述することよりも箇条書きにしたり、標語や見出しなどを活用して一目でわかるような工夫も検討させていきたい。
実際の学習活動では、効果的に伝わるわかりやすいマニュアルの条件を考える学習からスタートする。防災のマニュアルに限らず、身近にはさまざまなマニュアルが存在しているが、わかりやすいマニュアルにはどのような特徴や工夫がされているか、マニュアルの表現様式の分析をし、自分たちの表現に活かしていく。様々な地方公共団体などで実際に使われている防災マニュアルには、例えば防災マップを作成し、場所ごとの危険性を説明しているマニュアルや、火災や損壊などの被害状況ごとに説明しているマニュアル、緊急時の対応を時系列でまとめているマニュアルなどがあり、同じ防災マニュアルでも目的や意図によって様々な表現がされていることに気づくことができる。また、本校には教員が作成した防災に対する対応をまとめたもの(マニュアルではない)があるので、防災マニュアル作成に当たっては、これらのさまざまな機関が発行しているものを調べ、参考にしつつ、中学生の目線でオリジナルのマニュアルを作成していく。
マニュアルがまとまったら、それを批判的に検討する「逆演算」が必要である。「逆演算」とは失敗学の見地から危機管理を研究している畑村洋太郎の言葉で、明らかになった結果(事故・失敗)から見えていない原因を導き出す思考の方法をいう。結果から逆算し、あらゆるリスクを想定して批判的に思考し、再検討することをいう。マニュアルが真にリアリティあるものとして実用化されるためには、あらゆるリスクを洗い出し、検討し尽くすことが必要となる。マニュアルの一次案を多くの目から批判的に検討し、マニュアルの精度を上げていくプロセスが必要である。本単元ではそれを批判的交流の実の場として学習活動の一環として展開していきたい。


(2)本単元でつけたい力
防災マニュアルを書く活動を通して、目的や意図に沿って伝えたいメッセージを簡潔に分かりやすく表現するための方法を学ぶ。また、書かれたマニュアル批判的に検討し合う交流を通じて、マニュアルの内容や伝わりやすい表現の方法について学び、自分の表現に役立てていく。


(3)継続した学習
昨年は、新入生を対象とする学校紹介パンフレットを作成する活動を通して、分かりやすく説明する学習を行った。この学習では、学校の魅力を表現するための必要な要素を考え、表現するための材料の取り上げ方を学習した。本単元では、この学習の成果を引き継ぎ、目的や意図に応じて、的確な話題を取り上げつつ、それを効果的に読み手に伝えるためのさまざまな工夫を学ぶ。また、マニュアルの精度を上げるために書かれたものを批判的に検討し合う交流の方法についても学んでいく。


Ⅲ 単元の目標
(1)防災マニュアルを書くために様々な調査をしたり効果的に伝わる表現になるように工夫 を凝らし積極的に学習に取り組んでいる          (国語への関心・意欲・態度)
(2)防災について様々な資料や調査をもとに伝えたい内容を考えるとともに,文章の形態を  選択して適切な表現を工夫することができる。             (書く能力)
(3)書いた文章を互いに読み合い表現の仕方について検討するとともに、防災に対する自分  の意識を深めることができる。                    (書く能力)
  (4)相手や目的に応じて語や文章の形態や展開に違いがあることを理解することができる。
                                                        (言語についての知識・理解・技能)

Ⅴ 指導計画
第一次 防災マニュアルについて学ぶ(2時間)
○単元の概要を知る。
○マニュアルの表現の特徴や工夫について分析する。
○防災マニュアルをどのような内容にしたらよいか考える。
第2次 防災マニュアルの下書きをする。(3時間)
    ○防災マニュアルの内容について考える。
○内容を分かりやすく効果的に表現する。
第3次 検討し合い、仕上げる(3時間)
○下書きを批判的に検討する。                         (本時)
○検討したことをもとに手直しをし,仕上げる。

Ⅵ 本時

1.本時の目標
  ・下書きを読み合い、あらゆるリスクを想定した批判的な検討を行い、交流を通してマニュアルの質を高めることができる、
(書く能力)