2014/03/30

「つぶやきノート」の取り組み

私の「つぶやきノート」の実践を紹介したい。
私にとっては、この「つぶやきノート」は学級作りにおいてなくてはならない道具の一つ。ぜひ関心を持っていただいた方にはご意見をいただけると幸いです。

1、「つぶやきノート」とは
全員にA5版のノートを配布します。
そのノートに毎日、教師が与えたテーマについての「つぶやき」を書いていきます。(テーマを自由にすることもありますし、テーマの通りに書かなくてもいいです。要は、何を書いてもOK)
文量は大体3~5行程度が多いですが、ひとことで終わる生徒もいますし、ノートいっぱいに書いてくれる生徒もいます。文量についても、あまりとやかく言いません。
帰りの会の前に配布し、記入していき、帰る前に回収します。

2、「つぶやきノート」の目的
生徒の振り返りを促す
教師と生徒とのコミュニケーションの場として
生徒が自分の思いを表現する場の設定
生徒同士の交流を活性化させること
……中学校では,生徒が担任と言葉を交わす機会はほとんどありません。
それに、どうしても教師は目立つ子、活発な子に目が向きがちです。目立たない子に対してや、問題を抱えているけどなかなか声をかけにくい場合などに「つぶやきノート」は効果を発揮します。

3、「つぶやきノート」をどう活かす
もちろん、次の日までに内容に目を通し、つぶやきに対するコメントを書きます。
その中で、みんなに紹介したい「つぶやき」は学級通信(週刊)で紹介していきます。
(内容によっては伏せ字にしたり,本人に了承を得るようにしています)
たとえば、今週学級通信で紹介した生徒の「つぶやき」は、こんな感じです。
あえて、学級通信で紹介した全文を載せます。なんとなくこのつぶやきの「空気感」が伝わってくると思うので。

(A君)関数って難しいなあ~

 (Bさん)掃除場所が一緒の子がすごくおもしろいです。技術科部のなんやかんやをきいたり。前部長がマジギレしたことがあるそうです。

 (Cさん)ジャージってかぶるものですね。

(Dさん)スパイゲームはとても楽しいです。中間テストで使うであろう集中力を養えます。やってみてください。

(E君)小学生の頃は中学になったら彼女くらいできるかななんて言ってたけどそううまくはいかないらしい…… 男はつらいよ。

 (Fくん)テスト、社会は記号(ア・イとか)で書くところを全部言葉で書いて-20点になった。悲しいなあ……。

(Gさん)理科が一番心配です。国語の平均点高すぎです。

(H君)最近、散歩に行きたい…… 家のまわりにいいコースがあるんですよね。たまにはリフレッシュ。

(Iさん)この間、家の前で紙風船を拾いました。その紙風船が実は・・・・小学校のイベントで飛ばされたもので……学校名と将来の夢と名前が書いてあったので小学校に連絡をとってみたら、お礼の手紙を頂きました。

(Jくん) Sくん曰く、彼にとって勉強は趣味らしい。逆に世界地図とか憲法とか趣味の域だから。

(K君)ベンキョーはやばいもんなんじゃよ。 誰も大丈夫だと思わないし、思えない。 それが大丈夫なしるしなのかもしれない。

 (L君) なんで寝る前に風呂に入るといいんだろうね~ 塾の先生は寝る前は「社会の暗記だ!!」って毎日のように言ってたw 寝る前は実はめっちゃ貴重な時間だったりしてね。

じつに無意味な内容のようにも思えるかもしれませんが、こういうつぶやきこそ、生徒同士のコミュニケーションを活性化させるのです。(大きな行事がある場合はそれについてのつぶやきでいっぱいになります)
誰がコメントを書いたか、というのも生徒にとっては大きな関心事だったりするので、原則、名前は出します。

3、「つぶやきノート」のポイント
ポイント1 テーマ設定
教師が、そのときどきで生徒の思いを最もよく引き出せそうなものをテーマとして例示します。(が、くりかえしますがテーマ通りに書かなくても別にいいのですが、ほとんどの生徒はテーマに沿って書いています)

たとえば
意欲喚起系
・定期テストをひかえて
・受験生と夏休み

ふり返り系
・部活と私
・今日の先生の話を聞いて(生徒指導があったときに……)

つながり系
・〈席替えをして)新しい席になって
・クラスで「ありがとう」と言いたい人

プライベート、その他系
・私のストレス解消法
・去りゆく秋と私


ポイント2 指導ではなくコミュニケーション
時折書かれている内容が不真面目だったり、まんがを書いてくる生徒もいます。
おもわず指導をしてしまいたくなることもありますが、そんなことをしたら「きれいごと」ばっかりの作文になってしまいます。それでは、自分の気持ちをのびのびと好きに書く「つぶやきノート」の良さはいかせません。
「つぶやき」を拾いたいわけですから、本来、どんなことをつぶやいてもとがめられる筋合いはないわけです。
「生活記録ノート」との違いは、「何を書いても受け止めてもらえる」という安心感ではないかなと思っています。
ただし、コメントする教師のスタンスは(これは非常に説明するのが難しいのですが)適度にゆるく、なおかつ節度を持ってと言う感じがちょうど良いようです。(『生協の白石さん』のようなコメントがベターです)

ポイント3 クラスの状況によってねらいを変化させる
クラスの立ち上げ段階では、なるべく不安感とかストレスをはき出させるようにします。
(最初のうちはまじめに課題に向き合って書いてくれるので、書かせやすいというのもあります)
一人一人の不安感などをある程度ださせ、前向きな気持ちにフォーカスさせていきます。

クラスが少しづつ形になってきたら、他の生徒に向けてのコメントを多く書かせて、クラスのつながりを促進していきます。
学級通信での紹介により「つぶやき」によるコミュニケーションをどんどん活発にしていきます。
他の生徒に向けてやクラスに向けてのコメントをたくさん書いてもらい一体感を醸成します。

「つぶやきノート」に慣れてきたら、テーマ設定もなるべく自由にしていき、好きに書かせていきます。