2014/03/31

「自分のクラスが好き」と思える学級づくりを目指して

学級担任の取り組みは、究極的には、子どもたちが「自分のクラスが好き」と思えるようにすることだ。
なんだかんだ言っても、クラスという居場所や仲間を愛せるようになっていくことを、学級担任は1年間かけて(黒子に徹しつつも)やっていくのだろう。
そのために、学級担任は、どんな方策をとるべきだろうか?

A、自分にとっての「好きな場所」とはどんなところだろうか?
・自分が自分らしくいられ、その存在を受け入れてくれる他者が居る
・クラスでの生活が楽しい
・まとまる時はまとまる
・愛着がある、誇りがある
・秩序がある、嫌な思いをしない

B、そのために学級担任はどんなことをすべきだろうか?
・「自分らしさ」を引き出す
 担任は、あらゆる場面で生徒一人ひとりの個性を際立たせるように働きかける。
 「キャラが立つ」ようにする。
 日頃の言葉がけでも、授業でも、学級通信でも、他の人から「○○らしいなあ」という言葉が自然と行き交うような状態にする。
 どんな個性であっても「○○らしい」という言葉で受け入れることができれば、その集団は仲間を認めようとするまなざしになる。
 (とくに、その人の「らしさ」を見いだし、引き出す担任の受容的、好意的なまなざしが、他の生徒に決定的な影響を与える。担任の見るように、子どもたちも生徒を見るのだ)

・クラスでの生活を楽しむ
 ちょっとしたことでもいい。クラスに「遊び」の要素を入れると「楽しさ」を生むことができる。
 たとえば、クラス全員で楽しめるようなレクを行う。そのときに「全員で楽しむ」という雰囲気を大切にすることが重要だ。
 「遊び」や「ムダ」は「文化」にもなり得る。たとえば、クラスの「ゆるキャラ」を作ったり、ブームや流行語を意図的に引き出し、流行らせたりすることも、クラスでの生活を楽しくし、うるおいを生み、帰属意識を高める「文化」となる。

・まとまる時は誰よりも熱くなる
 運動会や文化祭などの行事には、どんな生徒よりも担任が熱くなっていたい。
 担任のクラスへの愛がクラスの生徒達を揺り動かすのだ。そして「クラスへの愛」という抽象的な思いが、クラス一人ひとりの絆やつながりを生み出す。
 担任は、自分のあふれる思いと持てる能力を最大限に傾注してクラス行事に取り組むべし。
「子どもに任せる」ことはもちろん大切だけど、任せすぎると、子どもはほっとかれているような気にもなる。子どもたちに任せながらも、クラスのどんな生徒よりも担任が行事で熱くなっていたい。

・愛着や誇りは、どれだけ他の人を認め合えるかによって生まれる。
 クラスへの愛着や誇りは、クラスの仲間への認め合うまなざしから生まれる。
 行事で頑張った人、影で努力している人、仲間のために優しく声をかけてくれている人、そういう他の生徒のよさを認め、褒め合える関わり合いを積み重ねていくことから生まれるだろう。
 そういう、他者を認めあえる関わりは、やはり担任が意図的に設定しないと自然には生まれてこない。
 行事や日常生活の中で、子どもたち同士が、他の生徒の良さに気づき、しかもそれを伝え合えるような関わりが生まれる取り組みを意図的に設定する配慮が必要だろう。
 たとえば、行事が終わった後に、頑張った人を紹介し合う、リーダーなどに感謝の手紙を書くなど、伝え合う形と場を設定するのだ。

・秩序を作る、嫌な思いをさせない
 これは最低限のルールやマナーのことだ。
 ルールやマナーについては、とくに1年生のうちは理念的に言ってもほとんど伝わらないことが多い。「他の人に思いやりを持って接しましょう」といっても、それがどういう行為を指しているのかわからない生徒も多いのだ。だから、初めのうちは、一つ一つ、噛んで含めるように確認していくことが必要だ。
 たとえば、「いじめはいけない」と言うだけではダメだ。「悪口は言わない」「人のものを勝手に持っていかない」のように、中学生であっても、誰でも理解できるレベルまで落として伝えるべきだ、そして一度確認したことを。あえて悪いと知っててやろうとしたら毅然として、しつこく指導を与える。
 ルールやマナーを確認していくのはタイミングも重要だ。決定的なダメージを与えるような言動については、前もって伝えておく。しかしいっぺんに伝えすぎても子どもたちは消化できない。トラブルやハプニングが起きた時に、それをチャンスとして全体に周知していくようにできれば理想的だ。
 しかし、こういうネガティブな指導だけではクラスの雰囲気も暗くなるので、ネガティブな面よりも、ポジティブで明るい取り組みが前面に出るように、常にバランスを意識することが必要だろう。