2015/08/19

異国における異文化を受容する方略に関する一考察〜これはこれでありだよね体験〜

旅先で強烈に体験する異文化の筆頭にあげられるのが食事だろう。
どんなに風光明媚でも、趣きのある遺跡があっても、現地の食べ物が「うっ」というものだと、旅行期間中はある程度は気合を入れなければいけなくなる。それでハラを壊したら旅行どころではなくなる。つまり我々は「食べる」という行為を通して、旅行者は異文化をどう受け入れるかが試されているというわけだ。
異文化である食事をどのように楽しんでいけばいいか、おおよそ、次の5つのパターンがあろうかと思う。

1、「和食だったら…‥みたいなものかな?」パターン
例)「インド人にとってのカレーって、日本だったら味噌と醤油みたいなものでしょ?」
このように、日頃親しんだ食事のスキーマに当てはめて、異文化を理解しようという方略である。

2、「この料理に醤油かければいけるでしょ」パターン
他の例)「これにマヨネースがあれば最高!」
このように、既存の文化を日本の食文化で染め上げるという態度である。実際に海外にマヨネーズや醤油を持参するという荒業もある。やや文化侵略的な後ろめたさが伴う。

3、「これはこれで、こういう食べ物だと思えばありかも」パターン
例)「メロンに生ハムって…‥、こういう食べ物だと思えばありかも。」
このように、メロン=単品のデザートという固定観念にとらわれずに、現地の食習慣、食文化の文脈で味わおうとする態度である。こういう発想で攻略できれば、その現地での食事をかなり楽しむことが可能になる。

4、「食べても死ぬわけじゃないから、大丈夫」パターン
どうしても切羽詰まった場合に使う方略。大丈夫だと思っていたらあとで本当に危なくなって腹を壊してしまうこともしばしばあるから要注意。

5、「来世に◯◯人にうまれ変わったら食べよう」パターン
パターン4まで努力してもどうしても喉を通らないことがある。
イヌを食べたり、サルの脳みそを食べる国もある。
そういう国に出かけたときは、泣く泣く、5の方略を選択して食事は遠慮することとなる。

この5つのパターン、たかが食事、されど食事。食文化を通して、異文化と向き合うときの姿勢や心構えを示していると言ったらいいすぎだろうか。
願わくば、どんな異文化に直面したときでも「これはこれでありだよね」「こういうものだと思えば味わえるよね」と思えるくらいの懐の広さは持ちたいものだ。