2013/01/29

私の100年の人生から学んだ生き方


日野原重明先生が来校。講義を拝聴しました。

「私の100年の人生から学んだ生き方」と題し、日野原先生の100年の人生をふりかえる内容のご講義だった。
若い頃に腎炎や結核などの大病を患った経験
人生のモデル、ウィリアム・オスラーとの出会い
よど号ハイジャック事件が自分に与えた影響など、日野原先生のライフヒストリーをうかがうことができた。

以下、メモから

大病の経験から学んだこと
……苦難のあとには恩寵(grace)として感謝されるときがくる。



ある人との出会いによってこそ、新しい運命が始まる
1)先人の著作との出会い
2)師や先輩、同僚、友人などとの出会い
3)患者さんとの出会い


邂逅(エンカウンター)と受容体(レセプター)
どんなに良い出会いがあっても、それを受け止めるレセプターがないとキャッチできない。
そのレセプターの感度を良くするためには「教養」が必須。
「教養」を養うためには多方面の本を読むこと。
大学時代は、大学の授業で学ぶことよりも、むしろいろいろな本を読んで教養を養うだけの時間を持つことが大切。


ナースに必要なものは「感性」(ナイチンゲール)
人の悲しみや喜び、痛みを知ることが決定的に重要な資質だ。
その悲しみや痛みを感じるためには文学を読む必要がある。


ターミナルケアの一番大切なことは”Be with the patient.”
患者と共にあること。一緒に死ぬような気持ちで立ち会うこと。
患者と一緒に苦しむこと。

よど号事件では山村代議士に身代わりになってもらって解放された。
無事に金浦空港に降り立ったとき、足の裏からくる霊感を感じた。
「私に与えられたこれからの人生を誰かのために捧げよう」と。

「成人病」という名称を「生活習慣病」と替えるまでに30年かかった。

何かを変えようと思えば20年、30年かかるものだ。


88歳の時「新老人の会」を設立。
3つのスローガン
 1、愛し愛されること
 2、創(はじ)めること
 3、耐えること
 「生きがいの3原則」フランクル

一つの信念
 子どもたちに平和と愛の大切さを伝えること
……毎週のように小学校で授業を行っている。


人間というものは、自分の運命は自分で作っていけるものだということをなかなか悟らないものである。(ベルグソン)

自分の運命は、私がデザインして作ろう。

自分では実現できないことも、次の代の人がそれを受け継ぎ、実現してくれるかもしれない。

日野原先生はこのところ毎年うちの大学に来て、年に一度だけ講義をしてくださっている。
「また来年お会いしましょう」
かくしゃくと手を振って教室を出られた。