2013/01/20

他の人の実践を参考にするとはどういうことか

他の人の実践を参考にするとはどういうことか
これにはいくつかのレベルがあると思う。

1,テクニックをまねる(授業技術レベル)
授業の中でのちょっとした工夫などを、そのまままねする。
ノートの取り方、指名の仕方、板書の方法など。
メリット:自分の実践のバリエーションが増え、一時的な効果も期待できる。
デメリット:自分のスタイルに合わなかったり、しっくりいかず長続きしないこともある。

2、授業構想を自分の実践にアレンジする。組み合わせる。(授業構想レベル)
例えば、小学校で行われた説明文の単元を、自分が教える中学校の教材で同じようなパターンで取り入れてみる。他の教科や分野で使われている方法を、自分の領域に応用する。
いくつかの要素を組み合わせて、ひとつの実践として構成する。
メリット:一つ一つの理論的な裏付けがある場合は、自信を持って授業プランを立てることができる。
デメリット:統一感を持った学習活動を組織するのが難しく、ちぐはぐしてしまうことも。

3、○○先生だったらどうするか?という発想を持つ。(教育観レベル)
自分の実践を、他の先生の発想を観点にして振り返る「○○先生軸」をもつ。
例えば、大村はま軸、齋藤孝軸など。
大村はまだったらどう言うか、齋藤孝だったらどう評価するか。
自分の直面する課題に当てはめて、シミュレーションをする。
メリット:判断や発想をするときのよりどころになる。
デメリット:知らないうちにその価値観に縛られてしまう。その価値観から逃れられなくなる。

いすれにせよ、教師の実践は、自分の身体性(スタイル、くせ、世界や他者との関わり方)と切り離すことができないものだ。
教育観と結びつかない技術はしっくりこない。結局身につかない。
いくら立派な教育観を持っていても、それを具現化する技術や知識を身につけなければ、実践を向上させていくことはできない。
他の人の教育技術、教育観を 知る → わかる → できるようになる、この三者の間には、計り知れない断裂がある。
その断裂を乗り越えるのは、日常のささやかな実践とふりかえりの積み重ねにしかない。