国語科が他の教科と違うなと感じるのは、一つの指導事項、内容を教えるのに、ほとんど無数のアプローチがあるということだ。
たとえは、「俳句を読む」学習といっても、教師が練りに練った発問によって深めていくという方法もあるし、子どもたちの活動を通してねらいに迫っていくという方法もある。
ようは、指導事項、ねらいが達成すれば、どんなアプローチも「アリ」なのだ。
その授業内容(カリキュラム)を再考するときに、「教師はどう授業を作ったか」という視点と、「学習者はどうそのカリキュラムを学んでいたのか」という視点の、双方向からのふり返りが必要になってくる。
そのための一番お手軽は方法は、学習者に「この授業どうだった?」と聞いてみることだ。中学生目線で「やって良かった授業」「授業でついた力」についてのフィードバックをもらい、それをカリキュラム改善のデータとして蓄積していくのだ。
というわけで、受け持った生徒に、「二年間の授業で印象に残った学習ベスト3は? どんな言葉の力を高めたと実感している?」という調査を実施した。
生徒がどのような意識でこれまでの授業に取り組んでいたかフィードバックしてもらう。生徒によるカリキュラムの評価、教師の評価だ。
結果はどうなったか。ベストテンを選んでみた。(直前に学んだ「故郷」「バースデー・ガール」はあえて除外)リンクがあるものは、以前ブログに実践の概要をレポートしたもの。
2年生
3年生
となった。最も多かったのは帯単元。やはりその威力は絶大だ。
うれしかったのは、これ以外でも「よく覚えてたなあ」と思うようなマニアックな授業にも必ず票が入っていたこと。その生徒にとってはヒットした授業だったということなのか、全体として、得票のばらつきがとても大きかったのが特徴だ。
反省点としては、「授業内容」と「どんな言葉の力を高めたと思う?」と聞いたときの、後者の「言葉の力」についての押さえが弱く「しっかり読む力がついた!」というレベルの、具体性のない記述で終わっている生徒がいること。これはもちろん授業の構成上の反省点だ。言語活動のなかの「言葉の力」を具体的に意識し、自分の言葉でメタ認知できるようにしていくのが今後の課題。
カリキュラムは当然、学習指導事項に示されている教科、各領域の目標や指導事項、年間指導・評価計画によって教師が作っていくものである。しかし、それだけでは空回りしてしまうことも多々ある。学習者からのフィードバックも得て、それを蓄積していくことでよりよいカリキュラムを作り上げていくことができる。その当たり前の流れを作っていきたい。そして、学習者自身が「この学習は、この言葉の力を高めるために取り組んでいる」と言えるくらいまでの力と学習活動にしていきたい。
日本中の学校で「どの授業が良かった?」「どんな言葉の力を高めた?」アンケートを実施し、その結果が蓄積されて教科書などに反映されていく。それができるようになると、どえらいことになると思うんだけどなあ。全国学力・学習状況調査よりも先にやるのはそれでしょう。