2014/01/01

今年のテーマは、語彙を豊かにする学習!

私の今年のテーマは「語彙を豊かにする学習」
海外で、語彙力が無くて英語が全然しゃべられなかった悲しい経験と、映画「舟を編む」を見て、あらためて、豊かな言葉を持っていることによる力を痛感した次第です。

年末、海外(モロッコ)に旅行に行ってきました。
私と妻の個人旅行で、同行したのはモロッコ人ドライバーのみ。現地ガイドが観光地ごとについてくるというスタイル。しかも、彼らは英語しかしゃべれません。説明はすべて英語です。(モロッコはアラビヤ語とフランス語が公用語なので、英語は必ずしも上手ではないらしいが……)

で、自分も高校までは英語を勉強してきたのでしゃべれるかなあと思っていたんですが、しゃべろうと思っても言葉が出てこない! 正確に言うと、単語が出てこない! これでは、いくら英文法とか構文を知っていても意味は無いのです。反対に、文法的にはかなり怪しくても、単語さえ知っていればコミュニケーションをとることはできるわけです。
作文力は語彙力!とあらためて痛感させられたのでした。
伝えたい思いがあっても、言葉にならないあのもやもやした時間は、きっと、教室で子どもたちが作文を書くときに途方に暮れているあの顔と同じです。かれらも、きっと伝えたい思いにぴったりした語彙を知らなかっただけかもしれません。
言葉を知っていること、言葉をいつも持っていること、それが、表現力のすべての根幹であることにあらためて痛感させられました。
作文を指導する時、いままで私は「どんな語彙に出会わせようか」とか「どういう語彙を使えるようになったらいいんだろうか」という視点で指導をしてはいませんでした。
「書き方」などのテクニックを教えて、書けるようにさせている「気」になっていただけだったのです。
作文が書けるようになる前提には、豊かな語彙力が必要とされる。しかもそれは教師が意図的に学習する場を設定する必要があること、これは、いままでの私の授業ではあまり重視されていない盲点です。
この「語彙力」はたんに単語の意味を知っているというだけではなく、単語の使い方(単語が文脈とセットで、一文の中で当てはめる力)や、特定の言い回しを知っていて、それをタイミング良く思い出して使える力とも言えると思います。英語教育やコーパスなどのツールも活用できるかもしれません。
「語彙を豊かにする学習」にフォーカスを当てた取り組みを意識していきたいです。


ちなみに「舟を編む」は、ご存知の人も多いと思いますが、辞書づくりに関わる人たちの物語です。
『大渡海』という辞書を、十何年もかけて編集をしていきます。
この作品にはこんな名言がちりばめられています。

(『大渡海』の名前の由来)
「海を渡るにふさわしい舟を編む」
「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」

「死者とつながり、まだ生まれ来ぬものたちとつながるために、ひとは言葉を生みだした。」

「言葉という落雷があってはじめて、すべては生まれてくる。愛も、心も。言葉によって象られ、昏い海から浮かびあがってくる。」


さあ、「舟を編む」にならって、今日から用例採集!

本年もよろしくお願いします。