2014/11/01

作文の授業についてのよくある質問集

作文指導のカリキュラムや評価について
年間の書くこと指導のカリキュラム上に、この小説を書く授業をどのように位置づけていますか
 2年生の書くことの学習では年間30~40時間を計画しています。そのうち、取り立てて学習する言語活動として、実用的な文章として手紙(5時間)を、文学的な文章として詩(3時間)と小説(7時間)を、そして説明的文章として意見文(投書)(5時間)を書く学習を取り上げます。また、短作文や長期休業中の作文課題などにも生徒たちは取り組んでいます。そのほか、読むことや話す聞く学習と関連した書く活動を指導時数にあてています。(調べ学習のレポートなど)

書いた作文をどのように評価するのですか
 小説の表現の特徴(設定・登場人物・プロットなど)を踏まえて、それを自分の作品に生かすことができているかどうかをみるようにしました。
 具体的には、読むことの学習で学んだ「小説の極意」を、意図的、効果的に自分の文章に活用できているかどうかを評価します。書き上がった作品と「創作ノート」とを比較し、実際に活用できているかを、活用しようと努力しているかを見ていきたいと考えています。
 小説の表現の工夫とその効果を、自覚的に自分の表現に活用していき、小説らしい描写やプロットの工夫などをした表現を書くことができるようになることを学習のゴールとしました。

作文を書いたらその作品はどうなりますか
 生徒には同一ジャンルごとに「同人誌」を編集し、それを作品集としてクラスや学年内で読みあうようにしたいと伝えています。また、学校で年に一度作成している雑誌に、クラスで最も好評を得た作品を掲載してもらおうと考えています。

指導方法について
この授業では、学校図書館とどのような連携がされてますか
 司書はこの授業では次のような学習支援をしています。
 ・様々なジャンルの小説の書き方マニュアルや創作のヒントとなる本を用意する。
 ・子どもたちが創作するモデルとなる、ごく短い文章の短編小説のアンソロジーを集める。
 ・それらをブックリストにして配布し、授業の中で紹介する。
 ・生徒が「こんな主人公で、こんな内容の小説を書きたい」と相談をしてきたときに、似たような  設定の小説や、参考になる本を紹介する。


小説を書くテクニックを学ぶと、自由にのびのびと書けなくなり、型にはまってしまうことはないですか
 自由にのびのびと書くことと、技術や型を学ぶこととは矛盾せず、両立できると考えています。むしろ、技術や型を使いこなせるようになることで、より表現したいことが効果的に表現できるようになると考えています。
 技術や型を教える際に配慮したいことは、それを生徒の書きたい思いや必要感を無視して押しつけるようにしないことです。さまざまな技術や型を、生徒が主体的に選択できる余地がある活動とすることで、技術を学び、それを目的や意図に応じて選択し、使いこなしてより効果的に表現できるような状態にしたいと考えています。

話し合うことで、その人の主体性が損なわれて、オリジナリティーがなくなることありませんか
 自分が書きたいことを話し合うことで、もやもやしていた作品のイメージを明確にさせたり、創作の課題を明らかにすることを目的にして交流を設定しました。小説家が小説を書く場合も、編集者や読者と対話しながら創りあげていくことはよく行われています。他者からの多様なフィードバックを得ることで、書き手のもつオリジナリティーは独りよがりのものではなくなり、より読み手に効果的に訴えかけることのできる洗練されたものになるのではないでしょうか。

個に応じた支援について
書くことが思いつかない生徒はいませんか? それをどのように支援していますか?
その人の持っているものを最大限引き出そうと努めました。その上で、断片的なイメージを小説の設定やプロットとして結びつくように支援をしました。
 具体的には次のような投げかけをしています。
 ・普段どんな本を読んでいるの? どんな本が好き? お気に入りの作者は?
 ・どんなイメージの小説を書きたい? 不思議な話とか、怖い話とか……
 ・ジャンルで言うと何が一番近い?
 ・設定は現代? それとも未来? 
 ・『 (本の名前) 』のような雰囲気のお話を書きたいの?
 など、思いつくところから言ってもらい、イメージを一緒に創っていきました。
 また、他の生徒と雑談させたり、プロットを見合ったり、学校図書館にある短編小説などを参照させたりして、発想のヒントとなるように支援しました。
 
どうやったらこれだけ書ける生徒が育ちますか?
 全員が書けるわけでもありませんし、苦手としている生徒もいます。しかし、授業では日常的に書く活動を取り入れていることと、書いた作品をクラスの仲間で楽しんで読みあえる環境を作ることを意識しています。
 具体的には、授業の終わりに200字程度の短作文に取り組ませたり、授業で書いた作品をクラス全員で読み合って感想のコメントを書き合ったり(書き込み回覧作文)といった交流活動を、生徒たちは積み重ねてきています。
 これらの活動を通して、文章を書くことに慣れ、また、作文を肯定的に受け止めてくれる仲間の存在を意識できています。それが、ある程度は書く意欲の向上につながっていると思います。