2014/07/19

授業プラン 「なぜ怖い??怪談の世界」(夏季限定)

怪談(怖い話)は子どもたちに大人気だ。
とくに宿泊行事などでは、夜になると「怖い話をして!」と必ずリクエストをしてくる。
先日2年生と一緒に行ってきた林間学校では、キャンプファイヤーのイベントの一つとしてクラスごとに車座になり怖い話を聞くという取り組みがあった。話をしたのはレク係のメンバー。レク係がしっかり練習をしてきたおかげか、怪談は大成功。夜の林に、ところどころ悲鳴が上がっていた。
それを聞きながらひらめいたのが「怪談」を授業で取り上げるということ。今回はタイミングを逃してしまったが、もし次に2年生を持つことになったら怪談の語りを授業で取り上げてみようと思う。
そこで、忘れないうちに授業の構想を書き留めておく。

単元名 
なぜ怖い??怪談の世界

単元の趣旨、概要
みんなで怪談を語る言語活動。
怪談を語ったり作ったりすることを通して、文学的文章の描写の特徴や音読の技術を学ぶ。

○怪談の語りの特徴
怪談の語りには様々な音読の技術が必要とされる。
顔色を作ったり
声のトーンをぐっとおとして声色を落としたり、
抑揚をつけたりつけなかったり
ゆっくりとしたテンポで話したり急に早口になったり、
突然「わあー!」っと叫んだり、「ごおーっ」という効果音を挿入したり、
そしてなにより、音読に不可欠な(それでいて学ぶことが難しい)「間」の大切さを実感することができる。
怪談の音読のいいところは、立て板に水の饒舌な人が必ずしもいいのではなくて、とつとつと話すような人のほうがむしろ怖さが増すというところだ。普段音読を苦手としている人こそ、この学習では生き生きと活躍するかもしれない。

○怪談のレトリックを学ぶ
一方、怪談「怖い話」には、怖くなるような書き方がなされている。
端的に言うとここぞとばかりにリアリティーを追求した描写をしつつも、ある場面では「身体感覚に訴えること」と「想像力をかきたてる余白」を書きこむことポイントになるだろう。
たとえば「突然、背筋にツーっと冷たいものが走った」とか
「背後に人影を感じた」などなど……、「五感」に訴える描写が怪談のレトリックの特徴だ。
そして、あえてあからさまに言わないところに、読者の想像力をかきたてる怖さがある。
「その後、女の子の姿は二度と現れませんでした」とか「後ろを振り返ると、さっきまで座っていた女性はいなくなってしまいました」など。
「お化けが出た」なんてべたなことを言わなくても、そうと感じさせる「余白」を配置することが特徴だったりする。(これは日本の怪談の特徴かもしれない)
これらの、「怪談の仕掛け」である表現の意図と効果を、作り手の立場から考えさせることが、怪談の学習から得られる学習内容となる。
(きっとこの学習が、怪談に限らず文学作品の描写の学習にも生きてくることだろう)

学習の流れ

A、音読をメインにした場合の授業
1、怪談を聞く
2、怪談の音読の特徴を分析する(
稲川淳二さんの怪談を聞く(たとえばこんな映像。こえ~)



こっちは伊集院光さん。これもこえ~
3、稲川淳二さんなどのネタで自分も怪談話をしてみる。
(ここまでが共通課題)
4、自作したり、インターネット等で調べた怖い話を再話する。
5、クラスで怪談発表会「2年○組百物語」を行う。

B、怪談のレトリックをメインにした場合の授業
4、上記の4の学習で、怪談がなぜ怖くなるか文章の工夫を分析する。
できれば文字起こしした資料があるといい。
日本の古典的な怪談や、世界の怖い話などを調べれば、ちょっとした比較文学の学習にもなる。

以下のサイトが参考になる。子どもたちに調べさせても、授業で提示してもいいだろう。
「怖い話の作り方」
どうすれば怖いホラーが書けるか

5、4で学習したことを参考に、怖い話を自作する。または、元々あった怖い話を、全く怖くない笑い話に作りかえる。(怖い話が苦手な人向け)

6、怖い話発表会を行う。