2015/02/08

三時間で「ガイアの知性」~アクティブラーニングな説明文学習~

説明的文章「ガイアの知性」(龍村仁)の授業プラン(中学2年)

教材について
「ガイアの知性」は、地球交響曲(ガイアシンフォニー)を制作した映画監督、龍村仁さんが書いた文章。
ガイアシンフォニーでは、「ガイア仮説」(こちらのサイトを参照)といわれる、地球全体が知性や意志を持っているという考えを念頭に置いてつくられているドキュメンタリー映画だ。(「地球交響曲」のサイトはこちら)
自主公演などのユニークな取り組みで知られている。私も、かつて見に行ったことがある。



ガイア仮説は、科学的には論証が難しい理論だ。この「ガイアの知性」という文章においても、次のような不思議なエピソードやメッセージが展開されている。
・オルカ(シャチ)が人間を喜ばせるために芸をしている事例。
・イルカが人間にイルカ語を教えようとするエピソード。
・亡くなった親象の歯を、倉庫に数百個しまってある中から探し出したという不思議な象さん。
・鯨や象は、人間とは異なった知性(受容的な知性)を持っている。
・人間は、鯨や象の知性から学び、「ガイアの知性」に進化する必要がある。 などなど。

「ガイアの知性」ってなんじゃ? いわゆる「スピリチュアル」?? 
読みようによっては「うさんくさいなあ」と感じてしまうところも正直ある。論理展開の甘さを、龍村さんの熱い筆致で補おうとしているともいえる。
この文章は、一応、教材のカテゴリーとしては説明的文章になるんだろうけど、エッセイ風の文章なのだろう。評論というところまで論理展開がかっちりとしているわけではない。私にとって、この文章が好きか嫌いかと言われれば、「んー、ビミョー」という感じだ。(龍村さんは嫌いじゃないけど)
しかしケチを付けていても仕方が無いので、授業では、この文章の持つメッセージ性に着目して読み進め、そこを入り口にして論理展開についても考えさせていくこととした。

時間 3時間

指導事項
①文章の構成や表現の仕方について、根拠と明確にして自分の考えをまとめる。
②文章を適切に理解し、要約する。

授業プラン
1時間目「龍村さんからのメッセージ」
「ガイアの知性」から、「龍村さんからのメッセージ」という趣旨でダイジェスト本を作るという活動。

・通読する
・わからない言葉はその場で調べる。
・初発の感想をノートにまとめる。
・龍村さんは、この文章で何が言いたいのか,ノートにまとめる。
 要約文を書くために重要箇所を書き出す。
・ミニ本「龍村さんからのメッセージ」を作成する。(ミニ本の作り方はこのサイトを参照
 見出しと要約文の学習。
 三つの大段落に分かれるので、見開き三面分に、それぞれタイトル(一行)、要約文(見開きに入る文量。箇条書きでなく、文章で)を書く。
 要約文は、キーワードと要旨を外さないようにする。
 タイトルもキャッチーなものが良い

2時間目「龍村さんへのメッセージ」
・ミニ本を読み合って要約文について確認する。
・論理的な文章構成について。(三角ロジックなど。教科書の意見文の項目を参考にする)
・龍村さんのこのメッセージを、さらによりよくしていくにはどうすればいいか考える。
 龍村さんのメッセージについての疑問、反論など(ひねくれた生徒が活躍しそう??)
 文章表現についてのアドバイス(ここが甘い、とか、ここをもう少し詳しく、とか)
 研究方法についてのアドバイス(ここのデータがとれると良い、など)
(たとえばこんな視点で) 
 筆者が説得力を上げるためには書く必要があるけれども書けていないこと、不足している記述
 筆者があえて避けている議論、取り上げていない事実、隠された本音
 筆者への質問、反論、アドバイス
 筆者の気づきを確かなものにするために、今後どんな研究が必要か
・これらを小グループでディスカッションして意見を膨らませていく

科学的な論証の方法論について、下記を参考にさせたり。


ややずれるが、スピリチュアル系の胡散臭い情報にだまされる心理についての研究は、下記が参考になるかもしれない。


3時間目 まとめ
 グループで話し合った意見を発表
 授業を通して考えたことを「龍村さんへのメッセージ」としてまとめる。
  ・文章を読んだ印象、感想 
  ・龍村さんへのメッセージやアドバイス(意見など) などを文章に入れ込む。