2013/09/23

「技術」と「能力」の違いは?

「技術」はテクニック。何かをするための手段、方法。
「能力」は,技術を使いこなして目的を達成することのできる力のこと。
さらに言えば、漢字などを使えることができるのが「技能」
技能・技術・能力の順に学力の構造があると考えることができる。

例)「読む技術」は、それを使いこなせるようになってはじめて「読む能力」となる。
だから、技術の集合体が能力というわけではない、
技術を目的に応じて操作する力がともなうことで、技術が能力となっていく。

能力を分節化すると技術に近づいてくる。
例)分かりやすい文章を書く能力
→文章の順序を意識する、一文一義、曖昧な表現をしない、主述を対応させる、などなど。

学校での学習の多くは、能力を技術として細分化し、身につけさせることに意を注いでいる。
しかし、細分化された技術を身につけさせることを重視するあまり、そのメタにある、技術を統合する能力に意識が向きにくいというデメリットもある。
手取り足取り教えれば教えるほど、技術は身についても、総体としての技術を統合する能力は身についているのかなあという疑念が常につきまとう。
技術を統合し、意味づけるメタ認知、メタ意識のようなものを意識付けさせる必要があるのではないだろうか。
それこそが知識・技能を「活用」していく能力であると思う。
それら「活用」にいかされる能力を「思考力・判断力・表現力等」と言うのだろうけど、それだと何となく、とても浅いものに思えてしまう。

「能力」を「技術」として分節化して教えることのデメリットは他にもある。
技術は重要な技術とさほど重要でない技術とがある。
たとえば、「一文一義」という言語技術は、あらゆる文章表現において必ず問題となる頻出の技術だ。
また、たとえば「閉じるカギ括弧と句点は同じマスに入れる」という技術?は、まあ知ってても知らなくてもどうでもいい技術ではある。
しかし、技術として取り立てて指導すると、どれも等しく重要に見える錯覚が生まれる。
たとえば、学習指導要領の指導事項は、言うまでも無く複数取り上げられている。が、すべてが等しく重要であるとは絶対に思えない。
しかし、このように複数が並立して取り上げらているので、どれも同じくらいの重要性を持って教える「べきだ」と錯覚してしまう。
(指導事項に取り上げられている)「技術」の重要性を意識することや、それぞれの技術にどのような意味や価値があるかを考えることなど、そこまでを含めて身につけることができて(教えることができて)はじめて能力を育てたということになるのではないだろうか。
ちなみに、技術を統合する基本的な構えのようなものについては、以前次のように書いている。


そこまで言ってしまってなんだけど、自分にはほとんどその自信はない。