2014/05/29

単元「兼好法師に学ぶ」〜ICT×ジグソー学習で古典を読む〜

徒然草を三時間で読むという欲張りな単元。
短時間で凝縮して徒然草の魅力に迫るためにジグソー学習を活用した。

1時間目 「徒然草」について知る
・既習の古文学習をふりかえる
・「徒然草」について知る
  →10min boxの「徒然草」の映像を見て、必要なことをメモする。
・「序段」を暗唱する
・「仁和寺にある法師」を音読する。
・「仁和寺にある法師」の歴史的仮名遣い、言葉の意味を確認する。

2時間目 兼好法師の教訓を読み取る
・前時の内容を振り返る
・橋本治の「絵本徒然草」の序段を紹介する。
ちなみに橋本訳の序段は次の通り。
「退屈で退屈でしょーがないから、心に浮かんでくるどーでもいいことをタラタラ書きつけていると、ワケ分かんない内にアブナクなってくんのなっ」  
ツイッターの吉田兼好Botを紹介!


・「仁和寺にある法師」の内容を確認する。
 結局法師は石清水八幡宮にたどり着いたか?
 石清水八幡宮と、極楽寺、高良の位置関係は?
→石清水八幡宮と、仁和寺のサイトや、Googleマップを提示する。
Googleマップ「石清水八幡宮」
Googleアップ「仁和寺」
公式サイト「石清水八幡宮」
公式サイト「仁和寺」
これらを通して、石清水八幡宮が小高い山の上にあることや、仁和寺がかなり格式の高い総本山であること(にもかかわらず、その僧侶がへまをしてしまったこと)などが確認できる。
このの文章が「エピソード」→「結末(落ち)」→「教訓」の流れで書かれていることを確認する。

・「徒然草」をジグソー学習で分担して読む。
(ジグソー学習は共同学習の手法です。ご存じない方は調べてみてください)
A、次の3つの文章を、グループ(3・4人)でどれか一つ選択して解読、共同で現代語訳を作成する。

  1. 第六十八段「筑紫に、なにがしかの押領使などといふやうなる者のありけるが……」
  2. 第百九段「高名の木登りといひし男……」
  3. 第九十二段「ある人、弓射ることを習ふに……」

・資料は岩波文庫『徒然草』と、新潮日本古典集成『徒然草』の該当箇所(脚注付き)を使用。
ただし、後半の兼好法師の述懐(教訓)が書かれている部分は空欄に。
・資料以外に、グループに一冊古語辞典を貸し出した。

3時間目 学んだ内容を共有する・兼好法師の教訓を予想する
B、グループのメンバーは、他の章段を選択したグループに出張して、自分たちのグループで読み取った内容を教えに行く。

C、出張したグループで、最後に、空欄となっている兼好法師の述懐(教訓)がどれかを話し合って予想する。

提示した選択肢は次の通り。
 
  あやしき下臈なれども、聖人の戒めにかなへり。鞠も、難き所を蹴出して後、安く思へば必ず落つと侍るやらん。

   改めて益なき事は、改めぬをよしとするなり。
 ウ
  深く信を致しぬれば、かかる徳もありけるにこそ。
 エ
  道を学する人、夕には朝あらむことを思ひ、朝には夕あらむことを思ひて、重ねてねんごろに修せむことを期す。いはむや、一刹那のうちにおいて、懈怠の心あることを知らむや。なんぞ、た だ今の一念において、ただちにすることのはなはだ難き。
 オ
  よき細工は、少し鈍き刀を使ふと言ふ。妙観が刀はいたく立たず。
・「兼好法師の教訓から学ぶ」というテーマで自分の考えを書く

おそらく、国語科でICTと一番連携できそうな領域は古典かもしれない。
テキスト、画像、動画などいくらでも教材や資料が手に入る。
そしてICTを使えば使うほど古典が身近なものとなり、親しむ効果が期待できる。
何よりも、ICTで古典というミスマッチが楽しい。生徒たちがどんな反応を見せるか、授業をするのが楽しみだ。