私は、国語教育の本質を見失うことなく、社会や、子どもたちの言語生活を見つめなおし、子どもたちの言語運用能力を向上させるためには何が必要なのか、どのような学習が有効なのか、シンプルに問い、そして探究を進めていきたいと考えています。
現任校では特に「書くこと」に焦点を当てた研究を行ってきました。ジャンルに応じた文章表現の学習や、読むことと関連した書くことの学習、多様な情報を組み合わせて表現する「編集」の学習、そして文字メディアだけでなく映像や音声などさまざまなメディアの特性をつかんで発信するメディアリテラシーの育成などに取り組みました。それら表現力の育成は、今後も私の研究課題の一つです。
ICT活用も含めた社会で求められている表現力や情報活用能力と、子どもたちの持っている力や関心などの接点に、学習材や学習活動を組織して単元を作り、社会に出てからも活用することのできる表現力を身につけていくための授業を実践していきたいです。
魅力的な学習材の発掘、つけたい力を明確に見極めた言語活動の検討、生徒の自然な思考過程や情報処理過程に立脚した学習活動のデザインなどに配慮し、実践を開発していきたいです。
2、ICTを活用した国語教育の可能性の追求
1と関連してICTを活用した教育の可能性を追求していきたいです。千葉大学大学院では指導教官である藤川大祐教授のもと、国語科におけるタブレット端末の活用について研究を進めました。また企業と連携してタブレット端末を活用した国語科学習のプログラムの開発にも協力しています。日々の授業のなかでも少しずつICTを取り入れた学習に取り組んでいるところです。
タブレット端末に象徴されるICTは、従来の紙に向かっての読み書き学習とは全く違った発想の学びを生み出す可能性があります。時間や空間を超え、文字や動画というメディアの違いを超え、交流を活性化する学習環境として、今後さらに活用していくことが求められます。ツールを使うことが目的化してしまうようなICT活用教育ではなく、国語科としての本質を見極め、その力を効果的に高めていくような実践を開発していきたいと考えています。
3、学校図書館の機能を生かした読書教育、情報活用教育の推進
現任校では、司書教諭として活動をする中で、学校図書館を活用した教育に大きな可能性があることに気づきました。学校図書館の活動が活性化することで、生徒の読書量は確実に向上していく手応えを得ることができました、それだけでなく、授業の中で学校図書館を積極的に利用していくことで、授業が変わり、探求的な学習が生まれる可能性があることを学びました。
学校図書館の活動を活性化させて、子どもたちの読書活動をさらに推進するとともに、探求的な学習を支える情報活用能力を育成する取り組みを進めていきたいと考えています。
具体的には、国語科の学習や自主学習の取り組みなどを通して、生徒が探求するプロセスにそった情報活用能力の指導をしていきます。また、図書資料だけにとどまらず、インターネットなどさまざまな情報を対象とした「メディアセンター」としての学校図書館の機能を向上させるための取り組みも進めていきたいです。大学図書館や地域の図書館、近隣の他附属の学校図書館など連携して取り組んでいくことで、さらにその可能性を広げていきたいと考えています