プレゼンのスライドとして、鰹節が菌によってうまみが出てくる仕組みを一枚の図で表現する。
とりあえず実習生と一緒に図を描いてみた。
授業では、型や書き方を例示せずに、はじめはフリーで子どもたちに取り組ませてみようという話になった。そして適宜、ヒントを出して支援をしていく。子どもたちからどんな図が飛び出してくるのか楽しみだ。
図解することは、説明内容をかなり的確に理解していないと表現できない。そして図化の巧拙も大きく左右すると思う。位置や配置、順序、構造、包含関係、因果関係などの把握が必要だ。図化のパターンや図化の文化のようなものもある程度あるのだろう。(地図は北を上にする、両外側の矢印は対立関係を表す、など)
図解をして理解する(伝達する)力は、「情報デザイン」の力として社会に出てから間違いなく重要になるとは思うのだが、その学習をどう筋道立てて組み立てていけばいいのか全く見当がつかない。だからいろいろと試行してみるのがおもしろい。
授業の流れは次のようにしようということになった。
授業の流れ
①まず、図とはどんなものか確認した。
理科の教科書を開いてみると、次のような特徴があることがわかった。
図とは、
・矢印や吹き出し、×や△などの記号表現
・線、図や絵などの絵画表現
・ものの名前、現象の名前などの言語表現
を組み合わせて表現するもの。
②次に、次の文章を図に表すときに、どんな要素を最低限入れなければいけないか、キーワードとなるものを確認する。
【教材文 抜粋】
さて、鰹節には、他にも食べ物として大変優れていることがあります。
カビ付けをした鰹節は、うまみ成分をきわめて多く含みます。
ですから、鰹節を削ってだしを取ると、料理はたちどころに美味になります。
このうまみの主な成分はアミノ酸とイノシン酸です。
鰹節菌は鰹節の水分を吸って繁殖する一方で、タンパク質分解酵素を生産して、鰹のタンパク質をアミノ酸に分解しているのです。
こうして、鰹節にはアミノ酸が蓄積されます。
また、鰹節にはイノシン酸も蓄積されています。
このアミノ酸とイノシン酸の相乗効果で鰹節はがぜんおいしくなるのです。
この文章を理解するためには、最低限次のキーワードが必要となる。
【ものの名前】鰹節・アミノ酸・イノシン酸・タンパク質・鰹節菌・タンパク質分解酵素
【成分】水分・うまみ成分
【現象】増殖・分解・相乗効果・生産・蓄積・おいしくなる
さらに、上記の説明文内容を図解するためには、次のことを表すことが必要となる。
A 鰹節菌は鰹節から水分を吸収し、タンパク質分解酵素を生産する。
B タンパク質分解酵素は、鰹節のタンパク質をアミノ酸に分解する。
C 鰹節にはもともとイノシン酸を含んでいる。
D イノシン酸とアミノ酸がうまみ成分として相乗効果をあげておいしくなる。
つまり、図に表すとはA〜Dを記号表現、絵画表現、言語表現を組み合わせて表すということになる。
③まず、各自にノートで図を描いてみる。その後、グループで図を一枚仕上げる活動に取り組んだ。
とても短い時間だったので、誤りなく表現することはかなり難しかったようだ。
細かく図を見てみるとところどころ理解が不徹底なところが見てとれる。
図表に表す前に、文章内容でわかりにくいところを確実に理解し、解決しておくことが必要となるのだろう。
・鰹節菌がタンパク質分解酵素を生産?
・タンパク質の位置づけが不明。
・図の青と赤の色分けの意図が不明。
・鰹節を鰹の絵で表現している。
・水が蒸発?菌が水分を吸収しているところがうまく表現されていない。
・イノシン酸がどこから出てきたかがよくわからない。
・鰹節の全体像と、拡大像をうまく組み合わせている。
・鰹節や鰹節菌などを擬人化して表現している。
・相乗効果=「愛がおいしさを生む」??
・水分を得て繁殖するところがやや分かりづらい。
【実践をふりかえって】
・文章のどんな内容を図に表すかを確実に確認する。
・共同で図に表す活動をする際は、あらかじめ図にする方針をよく検討する。
・図や記号などをどのように表現すれば伝わりやすくなるか話し合う。
・図にしてみてわかりにくい場合は文章に戻ってどのような意味であったか確認する。