今日から実習生の授業がスタートした。
今年から毎時間、iPadの授業観察用アプリ「CAVSene」を使ってビデオ記録をとり、それをストップモーション方式でリフレクションすることにした。
このビデオアプリは、動画を撮りながら、付箋や書き込みをその場でできたり、キャプション分けをできたりという機能があり、授業観察に特化したアプリだ。
事前の準備として、撮影をしながら気になった場所に付箋を貼ったりキャプション分けをして、後で見返しやすくしておく。
放課後、リフレクションを行った。
まず、ビデオを見ながら、授業の様子をひたすら思い出し、そのときの教師の心理状況(こうしたかった、こうなってほしかった、こうなる/するつもりじゃなかった)をひたすら語ってもらう。
その語りを聞きながら、実習生の、ぼんやりとした発想、つぶやきを拾い、それをより具体的でしっくりとくる表現になるように「指導教官」が言い換えるなどしてサポートしていく。
たとえば、今日のリフレクションで問題になったのはこんな場面だ。
子どもたちに、グループで分からない言葉の意味調べをさせた。
しかし、「わからない言葉はない」といって、意味調べの活動になかなか取り組もうとしない生徒がいた。
そこで、本心としては、「分からない言葉を自分から見つけて調べる」ことをさせたかったが、活動に取り組ませるために、思わず無意識に「他の○○班は20個も調べてすごい」と言ってしまった。
実習生は自分の本心とはズレているにもかかわらず、子どもを動かすために「数」にこだわって指示をしてしまった。しかし、それに気づいたときはもう遅かった。子どもたちは「ともかくたくさん調べればいいんだ」という気持ちになり、無理矢理機械的に調べる作業になってしまっていた。
活動の趣旨や目的を明確に示して伝えること、目的に対応した言葉がけ(評価)の大切さをこの授業で痛感した。
それと、教師の気持ちと行動にずれがあるときは、端から見ても、動きがロボットのようにぎこちなく、子どもへの指示も、自信を持ってできなくなるということを、この事例から実感することができた。
映像リフレクションの良いところは、授業を文節や要素に区切るのではなく、全体の雰囲気とか空気感まで振り返ることができると言うとこだ。
「ここではすっごく盛り上がって楽しそうだね。どんなことを感じていたの?」
「ここでは笑顔が消えて、声もだんだん小さくなっていったね。どんなきっかけで?」
「Aくんのほうを見ていたのは、どんなことが気になったの?」
「Aくんはなぜ作業を止めてしまったんだと思った?」
映像は言葉よりも膨大な情報量があるため、リフレクションするときに、そのときの雰囲気や空気感まで想起させることができる。なによりも、要素ではなく、全体的な文脈でとらえることができやすくなるようなメリットがあると思う。