2014/06/27

秘境で料理に挑む職人さんの姿から「コンピテンシー」について考えた

普段はほとんどテレビを見ない私だが、たまたま見かけた「世界の秘境で日本料理」という番組はとても興味深かった。
日本料理の職人さんがタイやパプアニューギニアに行き、現地の食材で、自らの職人技を惜しみなく使って調理をしていく。
それでもはじめは現地の食材の扱いに迷い、現地の方々にも味が受け入れられずに苦心するが、現地の方にも愛される料理を作るために試行錯誤、奮闘していく。
日本料理の繊細さってやっぱりすごいなあ。まさに、食は国境を越える!

そういえば、この間奈須正裕先生がおっしゃっていた、「造形遊び」は「料理」と同じ、というメタファーがこの番組を見て改めてよく分かった。
「造形遊び」も「料理」も、はじめから「これを作ろう!」と決めてかかって作るよりも、できあいの材料を組み合わせ、いじくり回しているうちにできあがってしまうことが多い。素材との対話、相互作用によってできあがっていくものなのだ。
秘境で格闘する日本料理の職人さんの、尽きせぬ食材へのアプローチ、対話がとても興味深い。「課題解決をする人間」ってまさにこの姿でしょう。

秘境で料理にいどむ職人さんの事例から、「学力の転移性」について考えさせられた。
職人さんが培ってきた技能が、どんなところに行っても通用する基礎基本、普遍的な価値をもった力(これがコンピテンシー?)であったからこそ、見事に料理を仕上げることができた。(課題解決=現地の人たちの舌を満足させることができる)
良質な学力は、どんな状況においても課題解決のために力を発揮することができるのだ。
時代や文化を超えても通用する能力をこそ育てたいものだ。

文科省では、次の学習指導要領に向けて「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」を進めている。
次の学習指導要領は「何を知っているか」から「何ができるようになったか」へ。
課題解決ができる人を育てる教育へとシフトしていくようだ。そんなときに、この職人の姿から学ぶべきことは多い。