「話す聞く」「書く」の言語活動ばっかりやっていて、入試に出るような「読解」の力はつくのか?
という問いがあるとして、それについてどのように考えればよいのか?
私なりの考え。
一つめ。話す聞く、書く、読むの力はそれぞれ別の力ではなく、共通して指導できることが多い。
書いたり話したりという効果的な表現の仕方を学ぶことは、それを読むときの力にもつながるはずです。その関連性を意識して指導するようにすればよいのではと考えています。(し、最近では読んで、そこから自分の考えを書いて表現するような力も問われていますので、単純な文章理解力のみではまずいと感じています)
たとえば、「書くこと」の学習で詩を創作する学習をしたとします。詩を創作するときに活用する「比喩」や「擬人法」などの知識や、情景描写や心情描写、象徴などの表現の効果を考えながら書く学習は、「読むとき」の学習にも活用させていくことができます。そのような領域を関連させた指導が重要であると感じています。
2つめ。評価も変わりつつある。
全国学力・学習状況調査を全国で実施し、その点数による序列化があおられる昨今、高校入試も全国学力……のテストのスタイルに少しずつ変わってきています。また、次の学習指導要領でも、従来のペーパーテストによる評価だけでなく、パフォーマンス評価が導入されることは確実です。高校入試にこびるのではなく、むしろ、社会に出てから役に立つ学習を、こちらが堂々と展開していくべきだと考えます。
3つめ、言語活動は目的ではなく手段である
たとえば、音読は「話す聞く」の活動ではなく「読むこと」の言語活動として示されています。
現行の学習指導要領では、言語活動を通して指導事項を指導する、というスタイルになっています。言語活動は手段、指導事項の習得が目的です。
これは、たんに大きな声ですらすら読む、ということを目的にするのではなくて、音読という活動を通して、より文章を深く解釈するという指導事項を指導することを目的にして行われるものです。
だから、音読を通して文章の解釈を考えることがうまく行われるのであれば(たとえば、音読するときの読み方を考えるときに、文中の登場人物の気持ちを想像して書き込む活動をすることによって)いわゆる高校入試で問われるような「読解」の力を付けることが可能になるのではないかと考えます。
4つめ、読むことと話す聞く、書くことのバランスはそもそも等分ではなく、学習指導要領上でも「読むこと」は重視されている。
学習指導要領の「指導計画の作成と内容の取り扱い」には、それぞれの領域の時数の目安が示されています。
それによると、1・2年の授業時数140時間のうち
「話す聞く」が15〜25時間
「書く」が30〜40時間と示されています。結果として
「読むこと」には95〜75時間割くことができます。
話す:書く:読むは、おおむね1:2:3ぐらいの割合で行われることになっています。この割合はそれほど多いとも少ないとも(私は)感じません。