2013/09/04

文法はひとつの体系に過ぎない。だから、体系とともに、実際の言語運用の姿もイメージさせるべきだ。

文法の授業では、はじめに学習用語を何度も復唱し、暗記させるようにしている。
主語述語修飾語接続語独立語。連体修飾語連用修飾語、体言と用言、などなど。
まず、前提として、学習用語に慣れていることが重要だ。
学習用語が入っていないと説明をしても理解できない。
まずは用語として頭に叩き込んで、しかるのちに体系を理解させるのだ。
一個一個、小出しに丁寧に教えるよりも、体系を提示してから各論に進んだ方が文法は理解しやすいと思う。

教科書に出ている文法は「法則、体系」である。
実際の日本語の振る舞いがイメージしやすくできているものとは限らない。
だから、「法則、体系」を教えるとともに、文法で習っていることが、実際の言語運用ではどのようになっているかを教師が伝えてあげることが重要だと思う。
たとえば、文の成分(主語・述語・修飾語・接続語・独立語)は、五つの用語として分類され、説明されている。
教科書でこの五つが取り上げられていると、どうしても、この五つが同じくらいの比率で出現するような錯覚を与えてしまう。しかし、実際は決してそんなことはない。
そこで、次のように、実際の言語運用の姿もあわせて伝えるのだ。
主語・述語・修飾語の三つの文の成分で、ほとんどの文節がカバーできてしまうこと。
日本語の会話文では、主語がない文さえ多いということ。
日本語の文章では、述語がほぼ99.9%文末にくること。
五つの文の成分で、修飾語が最も多く使われていること。
このような、実際の言語運用の様子を、法則と合わせてしっかりと伝えることが重要である。
これは子どもたちにとっても、文法を実際の言語運用に当てはめていくときの手引きにもなる。