2015/06/06

班ノートでリレー小説、ミニ読書タイム

今年の三年生の授業から毎時間、帯取りで班ノートと読書タイムの実践を行っている。

基本的なルールは次の通り。
・授業開始10分程度で。
・六人班で輪番でノートを回してテーマを決めて作文を書く。
・他の人は読書タイム。(好きな本を読む)
つまり同一時間帯に、読書をする生徒と班ノートを書く生徒の二パターンが存在することになる。

班ノートの活用
班ノートのテーマは自由。
しかし班員が一周するまでにはテーマを変えてはいけないという縛りがある。
まだ始まって日が浅いけれど、生徒達は次にようなテーマを選択していた。
○自己紹介、好きなもの系
私の趣味
私の好きな芸能人
私の好きなラーメン
班員紹介(他己紹介で次の人を紹介する)

○リレー小説系
学園恋愛小説
学園いじめ小説
ミステリー「○組○班殺人事件」(自分の班を舞台にしたミステリー)
リレーキーワード小説(次の人にキーワードを設定してそのお題で話をつないでいく)
恋愛小説

次の人にキーワードを指定する

学園ミステリー

もちろん一番盛り上がったのがリレー小説だ。
前の文脈を受け継ぎつつ、自分の番でどう話をひねっていくかに全力を傾注していく。そして次の人に上手くつながるように書き終える。
みんなで一つの文章を書くというのは簡単なようでなかなか難しい。でも「連句」のように、テキストが次々に解釈され、新しく生まれ変わっていくのはとてもスリリング!
なんと言っても,こういう形で日常的に書き手を育てる活動となるのは面白い。「表現の出口」が常に設定されていることで、「次はどうやって書こてみようか」という気にもなるから。
「書き手」として育てば、小説の読み方も自ずと変わってくるだろう。
早速国語の授業以外でも話題になるくらいのちょっとしたブームを巻き起こしている。
なお、文量は国語ノート半分以上をノルマとして、余ったスペースは班員がどんどんツッコミなどを書き込むようにさせた。10分で書きあがらなかった場合は、次の日の朝までに提出するようにさせた。
この実践は国語の作文指導と言うよりはむしろ学級作りの側面の方が大きいかも知れない。
文学という虚構を共に作り上げて行く楽しみ。リレー小説を通して引き出されるそれぞれの個性を味わうことなど。国語科の枠に留まらずになかなか面白い展開を見せている。


読書タイムの効用
貴重な授業時間を「ただ本を読むだけ」に使うのは無駄ではないのか?
そう感じてしまうかも知れない。
「読解は授業で」「読書は家で」というのがこれまでの常識だったからだ。
私も去年まではその認識だった。
しかし、ある友人から「読書は家で」って言っても、それで、本当に読書生活を育てているといえるのか、読むようになっているのか? むしろ教室の中でこそ読書をさせるべきなのではないか、という問題提起をいただいたのだ。
つまり、「畳の上の水練」と一緒で、十分に海で泳がせずに、「水泳の仕方」を教えているだけなのではないかという反省だ。
「そんなことはない!」とそのときは反発したくなった。
しかし、その後、生徒にアンケートを取った結果、予想通りというか、私の不安は的中した。
多くの中学生にとっては、「読書は嫌いじゃないけど、忙しくてしていられない」と感じるの回答がほとんどだったのだ。塾などで生活時間が押しつぶされてしまっているのだ。
このまま放置していたら、読書の楽しみを感じないままに大人になってしまう!
この結果を見て、生徒達のために、一日10分だけでも読書を親しむ生活を日常化させようと決断をした。
そういう経緯から、毎時間「ミニ読書タイム」を設定するに至った。
たった十分だけれども,この読書生活が根付くことで
・本を読む習慣 だけでなく
・本を選ぶ習慣
・本について語り合う習慣
なども身についてくれるだろう。
今のところは「好きなものを読む」時間となっているが、そのうちにテーマ読書に取り組んだり、ビブリオバトルなどの読書活動と関連させて取り組んだりと活用していきたいと考えている。
また、10分間継続して取り組んだ読書から、どのようなことを身につけていったのか振り返ったり交流する機会も設定していきたい。
そういう、読書活動に割けるフレキシブルな時間を設定した意味は小さくないと感じている。