2015/06/10

外国人を受け入れている学校の事例を聞いて

 
今日は外国人を受け入れている学校(小学校~高校まで)の具体的な事例を聞く機会があった。どの事例もそれぞれに興味深かったが、共通する問題点として次の3つが特に考えさせられた。


1、日本語ができるよりも、日本人の友達がほしい!
多くの外国人児童が、もっとも望んでいることは何か?...
日本語ができることよりも、勉強ができることよりも、それよりも「日本人の友達がほしい」ということなのだろうだ。
外国人指導というとどうしても言葉や学力面でのサポートをしなければという思いが先走ってしまうけれども、子供の意識はそれとは違うんだということ。




2、アイデンティティーを守る
外国人生徒が日本になじんでくるのにともなって大きくなってくる問題は、彼らが母語や母国語を失ってしまうという危惧だ。
特に、家族間では母語を使っている生徒も家から出れば日本語を使う生活が長く続くと、やがて母語を忘れてしまうようになってしまうという。母語を失うと、母国への気持ちも急速に薄れていく。そうなると引き裂かれたアイデンティティーの危機は深刻なものとなってしまう。
そうならないために、最近では母語や母国の文化を大切にしていくための教育を積極的に行っているそうだ。
たとえば大阪府には外国人生徒を特別に受け入れている高校が6校あるが、その高校では母国語を学ぶカリキュラムがあるという。どんなにマイナーな言語でもその国の生徒が入学してくると授業が開設される。こうやって外国人生徒が自分の母語を保持し、アイデンティティーを形成してもらえるような取り組みを行っている。(在日コリアンがいる学校でも同じような取り組みをやっているそうだ)



3、社会や政治情勢に揺れる外国人生徒たち
ヘイトスピーチ問題や中韓へのあからさまな嫌悪感を表す風潮を知り、多くの外国人生徒たちは傷ついている。また、両親から教わっている内容と日本の学校で教えられている内容との違和感に疑問を持つ生徒もいる。社会や政治情勢に子供たちは大きく影響を受けている。
「日本人なんて大っきらい! この間お母さんがね……」と親から聞いたことをそのまま鵜呑みにして気持ちをぶつける生徒。そんな生徒にある日本語教室の先生(その先生は中国人のハーフでもある)はこう投げかける。
「でも、あなたの身近にいる人はどう? お友達とか、先生とか……、いつも親切にしてくれていない? そういう人たちも大っきらいなの?
まずあなたの目で見て、あなたに接している日本人をどう感じたかが大切なんじゃないの?」と。
外国人を教える教師、学校ではこのように、国際関係の問題や日本社会の問題に真っ先に向き合っていくこととなる。しかしこうした地道な取り組み、さりげない言葉がけの中に「国際理解教育」とか「異文化との共生」という言葉が絵空事にならずに現実化に進んでいっているのも事実なのだ。