2015/06/10

外国人にとっての日本の学校のあり方とは?

ここ20年、日本に滞在する外国人が急速に増えてきている。
都内のコンビニ、キオスクなどで外国人の店員さんが働いていないことの方がむしろ珍しいほどだ。少子化と移民の受け入れが進むにつれ、介護などの福祉サービス業、いわゆるブルーカラーを中心とした労働者の供給源として、外国人移住者の増加は今後ますます加速していくことだろう。
外国人移住者が増えてくることで学校はどう変わってきているか。とくに現在次のような傾向が見られるそうだ。



1 外国人が集まって暮らす地域とそうでない地域とがある。
ダントツは愛知県。他を大きく引き離し6000人もの児童生徒がいる。続いて神奈川県の3000人、静岡、東京の2500人と続く。最近では山陰地方や九州も一気に増えてきているという。そういう「集住地域」では外国人受け入れセンター校を設置したり日本語指導員を入れたりという体制が整いつつある。
一方、それ以外の地域では、地域に一人とか、学校に一人といったパターンが非常に多く、そのため手厚いケアが受けられないという問題がある。



2、外国籍ではないハーフの生徒も増えてきている。
いわゆる国際結婚で、外国籍ではないんだけど日本語がうまく話せない生徒も増えてきている。
また、永住している外国人が日本で子どもを産み「日本人」として育てるケースも。そういう数字は上記の統計ではあらわれにくい。最近では「外国籍」とは言わずに「外国にルーツを持つ子」「外国につながりある子」とか「渡日人」という呼び方もされるようになってきたという。(しかし「日本語指導」の対象は外国籍となっているケースが多く、一概にどちらがいい悪いとは言えない状況にある。問題が複雑化している。)



3、移住者の国も多様化してきている
移住者の母語の一位はこれもダントツでポルトガル語。(ブラジル人)
二位は中国語、そしてフィリピノ語と続く。最近はベトナム人も増えてきている。また、様々な国から日本に来るようになってきいるので、これも多様化の傾向が見られる。
4、どのような問題があるか?
①異文化との衝突
一つには生徒の問題、そしてもう一つが学校の問題がある。
当面大事なのは、外国人生徒を日本の社会で生活できるように適応させていくという問題だ。そしてその個の能力を伸ばしていくという問題。
しかし難しいのが、生徒の個に応じることと、その生徒が持っている「文化」を尊重していくこととは、必ずしも一致しないという問題である。「文化」の問題は個に還元できないからだ。多様性と共通性を両立させていくことが大事、個に応じ、文化の違いを尊重しつつも、勇断として守るべきルールや規範については指導していかなければならない。
同化教育は慎むべきだが、分離教育となってもいけない。共生教育へと向かうべきだ。
②外国人生徒のライフコースを支援する
目の前の外国人生徒の「いま」をみるだけでなく、その外国人生徒のライフコース(成長・発達)という観点からの支援が必要だ。
そのためには「学びの連続性」を保障すること。
外国人生徒の持つ「文化」と学校文化、日本文化との「連続性」
外国人生徒の家族、学校、社会などのコミュニティーの「連続性」
外国人生徒の「いま」と「未来」との「連続性」など。
外国人生徒は異なる文化間を移動するたびに、それぞれの場で学びをリセットし、調整して適応して生きてきている。
「学びの連続性」を保障するためには、「学校」がその結節点となってそれぞれを結びつけていく必要がある。